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「ヘタレってヘタレってヘタレって、辛いなぁ~」


ルイが謎の替え歌を歌って笑っている。
夕食後、俺はいつの間にかソファでうたた寝をしてしまったらしい。その声に意識が浮上してきた。

つか、うるせーよ。
俺はもうヘタレ返上したんだっつの。

その後も双子は会話を続けている。


「ヘタレって、よく聞くけど意味は?」

「んー、そういえば分かんなーい」

「ネットで調べてみようか」

「そうしよ、そうしよ。……えっとねー臆病者だって。へっぽこ野郎とか書いてある。ウケるー!」


双子はパソコンの前でガハガハ笑い出した。


「やだー、この例に出てくる人お兄ちゃんに似てるー! 告白しようとして出来ずに、挙句彼女に怒られてるとかウケるー!!」

「俺はちゃんと告ったよ!」


ルイの辛辣な批評に思わず、寝ぼけたまま大声を出してしまう。

正気になって視界を改めると、瞳をキラキラと輝かせて好奇心むき出しの顔をしているルイと無表情のままジリジリ前進してくるイッサが目に入る。


「ついに告ったの、お兄ちゃん。その話聞きたい。聞かせて」

「……俺も」


忍び寄るイッサは、いつの間にか俺の肩を押さえつけている。
更に腹の上にはルイが乗り、俺は二人がかりで押さえつけられた。