「付き合いだしてから気持ちを深めるってのも俺はあると思う。というか、俺と珠子はそうだ」

「お前は違うだろ。珠子だけだろ?」


だからなんとなくお前の扱いが悪いんだろう?
時々、今でも片思いのようにみえるのもそのせいだろう。


「それでも、今は珠子はちゃんと俺のこと好きだと言ってるし」

「あ、そう」


惚気けられても困る。
つか、そんな事例を出されても、揺らぐもんか。


「とにかく、お前はあの噂の収集つけろよ」

「今更そんなのつけれねーよ。ホントにお前らが付き合っちゃえば問題無いじゃん」

「人事だと思って勝手なこと言うな!」


顔を寄せあってギャンギャン騒いでいると、いきなり背中を叩かれた。


「お前ら何してんだ。さっさと入れ!」


そこに居たのは数学教師。どうやら、チャイムはいつの間にか鳴っていたらしい。
皆のクスクス笑いの中、自分の席までとぼとぼ歩く。
勝手に気まずさを感じて、新見の方は見れなかった。