「なんでお前にそんなこと分かるんだよ。それに俺は嫌がってるよ!」
「明菜のこと、理解してやれる男ってそんなに居ないんだよ。だから」
だから?
その続きを聞きたくなくて、俺は和晃から視線をそらす。
「明菜はイイヤツだって、お前分かってくれてるじゃん。俺だって幼馴染としてアイツのことは心配なんだよ。誤解されやすいヤツだからさ」
「じゃあお前が付き合えよ」
「いや、俺は珠子が好きなんだし」
「俺だって、別に好きな子がいるんだぞ!」
言い返すと、和晃は軽く笑う。
「葉山先輩だろ? でも脈ないんじゃないの。葉山先輩って誰からの告白も断るって聞いたぞ」
あっさりと言われると傷つくんだけど。
俺はまだ断られてない。可能性はあるはずだ。
「でも。……気持ちって誰かに言われたから変えれるってもんじゃないだろ」
「サトル……」
「それに、中途半端なら新見にも失礼だ」
ギュッと拳を握る。
そうだよ。新見は嘘はつかない。
だからあの告白は本気なんだ。本気には本気で返すべきだ。
気持ちのベクトルが違う方を向いているのに、フラれそうだからって無理矢理方向を変えるのは間違っている。
と、突然和晃が俺の両肩をガシっと掴んだ。
「そんなこと無いぞ」
「は?」
目がマジだ。なんか怖い。