「え?」
ゆっくり振り向いたサユちゃんは、未だ瞳に戸惑いの色を浮かべたままだ。
「ゴメンな、サユちゃん」
皆で仲良くしていたいという君の気持ちを、俺は一番理解してあげなきゃいけないのに、自分の欲が止められない。
「俺は皆でマルじゃ嫌だ」
言った途端に頬が熱くなり、頭をガリガリかきながら一人で悶える。
サユちゃんをそっと覗き見ると、彼女は泣きそうな顔をして震えていた。
「そっ……そっかぁ」
なんか反応が変じゃないか?
そっかって何。何がそうなんだ?
「やっぱり、サトルくん、新見さんと付き合ってるんだ」
「はぁ?」
目玉が飛び出るほどびっくりしつつ、そういやそんな噂が蔓延していたんだと思い出す。
ってことはだめじゃん。さっきの告白通じてない。
「違う、俺が皆でマルが嫌だっていうのは新見のことじゃなくて」
「いいよ。私とかと仲良くしてたら、きっと新見さん気分悪くするよね」
「そうじゃなくて!」
逃げられる。
そう思ったら勝手に手が出ていた。