*
「やる気あるのか!」
雷のような一喝を、このちゃらんぽらんな教師から食らうとは思わなかった。
今日の俺は絶不調。スタートではフライングしまくるし、ダッシュの合間にも美術室が気になって集中出来なかった。
木下は帰りがけの俺を捕まえて、人気のないところでお説教をはじめたのだ。
「……すいません」
叱られることにはむかつくけど、確かに悪いのは俺。
殊勝な顔で頭を下げると、木下は溜息をついて俺の肩を叩いた。
「なんかあったか? サユ関連か。お前今日美術室ばっか見てただろう」
「そういうわけじゃ」
「サユも今日元気なかったんだよな」
「え?」
そういえば、木下はサユちゃんの担任だった。
「元気ないって?」
「窓の外見て溜息ばっかりついてた。ありゃーあれかな、恋する乙女の顔かな」
「恋って」
だって、サユちゃんが好きなのって木下じゃないのか?
あ、それとも告白されて、夏目のことが急に気になった?
「お前なんか心当たりないの?」
「ない……こともない……です」
「だったら、なんとかしてやれよ」
なんとかって、どうすりゃいいんだよ。
夏目や木下との間を取り持つなんて冗談じゃないし。
「ま、今日は帰れ」
ポンと背中を押されて、礼をしてかけ出すけど。
俺の頭はモヤモヤしてちっとも落ち着かない。
「やる気あるのか!」
雷のような一喝を、このちゃらんぽらんな教師から食らうとは思わなかった。
今日の俺は絶不調。スタートではフライングしまくるし、ダッシュの合間にも美術室が気になって集中出来なかった。
木下は帰りがけの俺を捕まえて、人気のないところでお説教をはじめたのだ。
「……すいません」
叱られることにはむかつくけど、確かに悪いのは俺。
殊勝な顔で頭を下げると、木下は溜息をついて俺の肩を叩いた。
「なんかあったか? サユ関連か。お前今日美術室ばっか見てただろう」
「そういうわけじゃ」
「サユも今日元気なかったんだよな」
「え?」
そういえば、木下はサユちゃんの担任だった。
「元気ないって?」
「窓の外見て溜息ばっかりついてた。ありゃーあれかな、恋する乙女の顔かな」
「恋って」
だって、サユちゃんが好きなのって木下じゃないのか?
あ、それとも告白されて、夏目のことが急に気になった?
「お前なんか心当たりないの?」
「ない……こともない……です」
「だったら、なんとかしてやれよ」
なんとかって、どうすりゃいいんだよ。
夏目や木下との間を取り持つなんて冗談じゃないし。
「ま、今日は帰れ」
ポンと背中を押されて、礼をしてかけ出すけど。
俺の頭はモヤモヤしてちっとも落ち着かない。