放課後、颯と一緒にランニングしているとき、それは思わぬ形で判明した。


「おめでとう」

「は?」

「だって彼女できたんだろ? あの気の強そうな学級委員」

「はぁ?」


ちょっと待てよ。どうして隣のクラスの颯がそんなこと。
俺の焦った顔を見て、最初はニヤニヤしていた颯も、真剣な顔になる。


「違うのか。だよな。あの先輩のこと好きなはずなのにって思ってたんだ」

「誰情報だよ」

「さあ。女子の方で盛り上がってた。ほら、お前のクラスの学級委員、超怖いじゃん。でもさ、見た目は結構カワイイじゃん。そのギャップで有名なんだよね。お前は大して有名じゃないけど」

「あっそ」


俺が有名じゃないのは別にいいんだが。

どういうことだ?
うちのクラスではすっかりあの噂が沈静化したのに。作戦替えして他のクラスに言いふらしてるってことか?

中村、そんなに学級委員決めの時、新見ともめたのを根に持っているのか。
女の喧嘩って面倒くせーな。

しかも、当の新見にはなんのダメージも与えてねぇじゃねーか!
ダメージ食らってんのは地味に俺だよ。