週明け、教室のドアを開けると、中にいたクラスメートの視線が一気に俺の方を向く。


「え? おはよ。つか、何?」


俺の挨拶に返事をする奴はおらず、クスクスと後ろの方の席の女子が笑った。
首を傾げて前を向くと、黒板に謎の記号が書かれている。

相合傘の両側に中津川と新見の文字。

……ちょっと待て? 
これは一体どういうことだ?


「なんだ、知らなかったぜぇ? サトル」


ニヤニヤと近寄ってきたのは夏目だ。


「夏目、なんだよこれ」

「二人でデートしてたって話じゃん」

「デートなんてしてねぇよ!」


何が一体どうなっているんだ。

周りを見渡しても、クスクス笑う女子か、ひやかしてくる男子しかいない。
新見や和晃や珠子はまだ来てないようだ。

つか、新見にこれバレたら殺されるんじゃないか。
誰だよ、こんなこと書く命知らず。この丸文字からして女って感じだけど。新見を敵視してる中村とかかな。そういやあいつを中心にクスクス笑いしているようにも見える。


「俺と新見なんでもねーぞ。たまたまこの間帰りが一緒になっただけだ」


被害を広めたくないので弁明しながら黒板の文字を消していく。

感謝しろよ、中村。
犯人がお前だって判明したら新見に半殺しにされるとこだったんだぞ?