「……ルイ。部屋戻ろ」


イッサはぴょんとベッドから飛び降りると、俺の方は見ずにルイの服の裾を引っ張った。


「え? ちょ、イッサ」

「行こ」


いきり立っていたルイは、突然タジタジになってイッサについていく。
イッサはあまり話さないくせに妙な威圧感があり、俺は気圧されたようにドアまでの短い距離を歩く双子を見つめていた。



「あ、にーちゃん」

「なんだ?」


淀んだ目で振り向いた弟に、何故かたじろいでしまう俺。


「……これ、貸して。マンガ」

「あ、ああ」


なんだそんなことかとホッとして頷くと、口元だけで笑ってイッサは扉を閉めた。


「なんで言っちゃダメなの、イッサ」

「にーちゃん、本気だから」


ドア越しに聞こえる双子の声が、なんだか胸に突き刺さるようで、俺は自己嫌悪に陥る。


ルイに八つ当たりなんて最低だ。