別に行く場所なんてなかったけど

ただ
ただ走り出した

みかが死んだなんて嘘だ

あたしのたった1人の家族だもん

死ぬわけないよね

「たッ」

何かに当たった

「ごめん、大丈夫ですか?」

目の前にいたのはド金髪が目立つ高校生くらいの男の子だった

「大丈夫です」

「でも、泣いてるから」

泣いてる?

あたし泣いてるの

頬を触ってみるとかすかに濡れていた

「これは違うから大丈夫だよ」

「ねえ、現実を見るのって簡単だと思う?」
急に問い掛けて来た

「難しいと思うな」

「だよな」

あたしはこんな偉そうなこと言える立場なんかじゃないんだよね

だってあたしだって現実を見れてないから

「あたし現実みれてないんだ」

「君も?」

「うん、どうしたら見れるのかね」

だって信じる事なんてできないよ

信じたくない

「無理に見なくてもそのうち分かるときがくるのかもな」

「うん」

「ありがと、少し現実が見れるような気がする」

あたしも見れるのかな