「名前は?」

「佐藤ゆき。」

「ゆきか、俺春日ゆう」

きっともう2度と会う事はないだろう

あたしにほんの少し現実の大切さを教えてくれた人

「俺病室戻るわ、君は?」

「あたしも戻ろうかな」

現実を見るために

「じゃあ」

そう言うと走ってどこかへいってしまった

あたしも病室に向かって走り出した

あれは夢だったんじゃないかという微かな希望を胸に抱きながら

「失礼します」

入るとベットにはみかが横たわっていた

夢じゃない

これは現実?

あたしの目から涙がこぼれ落ちた

一粒
一粒

涙の粒はどんどん大きくなっていった

その場に崩れ落ちた

「みか、みか、みか」
ただひたすらみかの名前を呼んだ

けして目が覚めることはないのに

ただいまって元気な声を聞く事もできなければ

みかが作った美味しい料理を食べる事もできない

なんであたしを置いていっちゃうの?

お母さんも

お父さんも

そして妹みかまで


「すいません、みかさんの家族の方ですか?」

「はい」

運ばれて来たときの状況
どんな感じで事故ったか
先生はあたしに説明していった

あたしはその話を理解するわけでもなく
ただ涙をこぼしていた