「フッ、冗談だよ」


「え…?」


朝日の顔から力が抜ける。


「俺が従業員に手を出すわけないだろう?

何ムキになってんだよ」


周りの客の視線に気付いた朝日は、静かに腰を下ろした。


テーブルに視線を落とす朝日。


コイツ、やっぱり…。


どうしてなんだ?


ありさという婚約者がいながら。


なぜ、よりによって水沢なんだよ。


真逆のタイプじゃないか。


真逆…?


あぁ、だから新鮮なのかもしれない。


だけど、許さない。


ありさを裏切る事だけは、絶対に……。