「美人や普通に可愛い女は飽きたな。

ちょっとボーイッシュな子に路線変更してみようかな?」


「ボーイッシュ…?」


朝日の眉がぴくりと上がる。


「俺が少しずついい女に変えてやるんだ。

経験のない子がいい。

育て甲斐があるからな」


「そんな知り合い僕にはいないな」


朝日は呆れ顔だ。


「あ…、手頃なのがいた」


「え…?」


「しかも身近に」


俺がニヤリと笑うと、朝日が目を見開いた。


「水沢…」


ぽつり呟いてみる。


朝日の顔がみるみる強張っていく。


「アイツ、男と付き合った事が一度もないんだそうだ。

これは磨き甲斐がありそうだろ?

面白いかも」


そう言ってクスリと笑って見せた。


次の瞬間。


朝日がガタンと椅子から立ち上がった。


「夏樹…、お前…」


朝日の指が震えている。


「朝日、お前どしたの?」


朝日の柔らかい髪の隙間から、鋭い瞳が光って見える。


「由梨ちゃんに何かしてみろ。僕が許さない」


肩が僅かに上下していて、今にも俺を殴りそうだ。