ありさがこんな時間に俺に電話して来るのは、学生の時以来だ。


声の感じからして、明らかに様子がおかしかった。


俺に電話して来るって事は、多分朝日と何かあったんだ。


アイツが招待客のリストをなかなか出さないことと、何か関係があるのだろうか。


俺は少しスピードを上げた。




ありさは親と同居している。


俺は近くのコンビニに車を停め、ありさに電話をかけた。


しばらく待っていると、ありさが自宅から出て来る姿が見えた。


俺は運転席に座ったまま、助手席のドアを開けてありさを待った。


「夏樹君ごめんね。急に呼び出したりして」


「いいよ。乗って」


Tシャツにラフなパンツスタイル、ノーメイクのありさが俺の車に乗り込む。


普段と違うその姿に、少し戸惑う自分がいた。


「ちょっと車走らせようか」


俺がそう言うと、ありさがコクンと頷いた。


あてもなく、夜の街を走る。


ありさは黙ったまま、ただ外の景色を眺めていた。