社長の可愛らしい一面を見て、一人嬉しく思っていた私だったけど、数日経ってしまえば……。


「おい、水沢。これ運んどけ」


鬼社長に戻ってた。


まぁ、そんなもんだよね。


別に女の子として見てくれてるワケじゃないんだから。


「おい。そこ終わったら、入口の植え木綺麗にしとけよ」


「……はい」


くっそー。


「由梨ー。

最近、社長またアンタにひどく命令するようになったわねー。

あたしは解放されて嬉しいけどー」


そう言って沙希がケラケラと笑う。


「ははは…」


こんなことなら、あのままでよかったかしら?


「もうすぐ休憩時間よ。今日どうする?」


「私、今日は外出する」


買いたいものとか、色々あるし。





私は休憩時間、駅前へと足を運んだ。


本屋で数冊本を買い、CD屋に入る。


新譜をチェックしようかとCDを手にした時だった。


「由梨ちゃん?」