そんなわけで、私は朝日さんとありささんの披露宴の担当になってしまった。


ハッキリ言ってそんなの拷問だ。


二人の幸せそうな笑顔を、なぜこんな近くで見なくちゃいけないの?


朝日さんの唇の動きを見るだけで、あの日の記憶が蘇ってドキドキするのに……。


でも、朝日さんはそんなのもうすっかり忘れているみたい。


ありささんを見つめる瞳が優しくて、綺麗で。


私はまだ気持ちの整理がついてないというのに。


どうすればいいのかな。


とりあえず今日は社長も同席してくれたから、食事内容はほぼ決まった。


「じゃあ次回までに招待客のリストを頼むね」


「うん、わかった」


「ありさはドレスを決めに、さっき話したお店に行ってくれ」


「えぇ、わかったわ。じゃあ今日はこれで。
ありがとね、夏樹君。由梨ちゃんも」


ありささんがサラサラな髪を揺らして、にっこりほほえむ。


「またお待ちしています」


頭を下げて二人を見送った。


私の左に立っている社長。


ボーッと突っ立っちゃって。


全く、人の気も知らないでさ。


腹立つ。


まぁいいや。


お昼ご飯食べそびれたし、厨房行ってなんかもらおうっと。


そう思って、移動しようとした時だった。


「水沢」


急に名前を呼ばれビックリして振り返ると、社長が真っ直ぐな目を私に向けて来た。


そのセクシーな顔に、心臓の鼓動が次第に速くなっていく。


「な、んでしょうか」