結局私は朝日さんに言われるまま、そのショートパンツを買ってしまった。


しかも、そのまま履いているという…。


複雑な顔をして歩いていたら、朝日さんがニッコリ笑った。


「その髪型にそのショートパンツだと、ホントに雰囲気違うよ。

すごく似合ってる。可愛いよ」


朝日さんにそう言われて、顔がみるみる熱くなっていってしまう。


でも…。


嬉しい。


「ねぇ、由梨ちゃん。メイクしてもらわない?」


「えぇっ?でも朝日さん。これでも一応メイクはしてるんですよ?」


まぁ、かなーり薄いけどね…。


「プロにやってもらうと、全然違うんだから。行こう」


そう言って、朝日さんが案内したのは化粧品のコーナー。


バッチリメイクのお姉さんに朝日さんが声をかける。


なにやら話してるけど。


「由梨ちゃーん、こっちおいでー」


手招きをする朝日さん。


「こっち座って」


言われるまま腰掛けると、綺麗なお姉さんが近寄って来た。


「それでは失礼します」


私はそのお姉さんに濡れたコットンを顔に当てられ、されるがままに座ること15分…。


「完成です。どうですか?」


 ん?


 んん??


「えー!これ誰ですかー?」


私の発した言葉に、店員さんがクスクス笑う。


「お客様、すごく肌がお綺麗だから、メイクのノリがいいですよね。
メイクでこんなに変わるんですよ。ぜひチャレンジしてみてください」


目をぱちくりさせていると、朝日さんが優しい目で私を見ていた。


タダでメイクをしてもらって申し訳ないので、私はグロスを1本買ってお店を出たのだった。