朝日さんの誘いを断り切れない私は、そのウィッグを被ったまま、朝日さんとバスに乗ることになってしまった。


朝日さんと隣同士で座る。


バスが揺れるたび肩が触れ合って、そこに意識が集中してしまう。


袖から見える朝日さんの腕は、細いけど筋肉が適度にあってすごく綺麗で。


私は息をすることでさえ緊張してしまい、正直早く降りたくて仕方がなかった。


「次で降りようか」


「あ、はい…」


よかったー。やっと降りれる。


このまま乗ってたら、酸欠になってしまうよ。


バスが停留所に着き、私達はバスを降りた。


あ、ここって朝日さんが住む町の繁華街だよね。


ここにはほとんど来たことないなー。


「じゃあ行こうか」


一体どこへ行くというのだろう。


朝日さんは慣れた様子で、ファッションビルの中へと入って行った。


ありささんとよく来ているのかもしれない。


エスカレーターを上がると、朝日さんはいかにもギャルが好みそうなお店へと私を招いた。


「ねぇ、由梨ちゃん。こういうショートパンツ履かない?」


「はい?」


えーっ!


こ、これって太もも丸出しのヤツだよねぇ?


なんでこんなの…。


「由梨ちゃん、多分これすごく似合うと思う」


「えぇっ?まさか」


「由梨ちゃんって脚綺麗じゃない?

思い切って出してみたらいいと思う」


「はっ?」


私が目を見開くと、朝日さんが少し顔を赤らめた。


「いやあの…。
お店だと、制服がスカートでしょ?
変な意味で見たわけじゃないんだけど、すごく綺麗な脚だなって思ったんだ」


「ま、じっすか…」


うー。


そんなこと言われると、ものすごく恥ずかしいんですけど。


「もったいないよ。あんなに綺麗なのに」


綺麗、か…。