「な、なんでこんなカツラがあるんです?」


これって思いっきり女子用のウィッグなんですけど…。


まさか朝日さん、女装の趣味が……?


「いや、僕ね。

こういう職業だから、よくクラブのパーティーに呼ばれるんだよ。

DJやらされるんだけどね。

その時にたまーに女装で参加させられるんだ。半ば強制的に」


「ど、どうしてでしょうね」


普通でいいじゃないか。DJなら。


「なんかね。顔が女顔だから、女装して欲しいんだって」


「あー…」


なるほど。


確かに朝日さん、すごく綺麗だもの。


このカツラかぶってメイクしたら、相当美人だろうなあ。


「由梨ちゃん、ちょっとかぶってみない?」


「はっ?」


「髪伸ばしたことある?」


「あ、えと。幼稚園の頃なら。小学校からはずっとショートなんです」


「これ、ロングの気分が味わえるよ」


「いや、でも……」


似合うわけないし。


「いいから」


そう言って朝日さんが、私にカツラを被せる。


「こうして、こうすれば。

オッケー。

こっち来てごらん」


朝日さんに言われるまま移動し、棚に立てかけてある鏡の前に立つと。


「えっ?」