「由梨ちゃん」


「朝日さん、こんにちは」


「よく来たね。そんなに遠くなかったでしょ?」


「はい。20分くらいで来れました」


朝日さんは、白のTシャツに綺麗な水色の襟つきのシャツを羽織っていて、今日も爽やかだ。


「どこかのカフェに入ろうかと思ったけど、僕の家に来ない?」


「はい?」


「その方が便利で助かるんだけど。一緒に色々聴けるしさ」


「……確かにそうですね」


「じゃあ行こうか」


家なんかにお邪魔してもいいんだろうか。


ありささんが心配しないかな。


っていうか心配される対象でもないか。


相手が私じゃ……。


青々と茂る緑が綺麗な並木道を、朝日さんと歩く。


風で葉っぱがゆらゆらと揺らめいている。


もうすぐ梅雨が明けて本格的な夏が来るんだね。


「すぐそこのマンションだから」


「はい」