次の週の月曜日。


私はバスを乗り継いで、朝日さんに指定された場所へと向かっていた。


バスに乗っている間、胸がドキドキして仕方がなかった。


別にデートするわけじゃない。


ただ、音楽を持っていくだけなのに。


それなのに何を着て行ったらいいか、1時間も迷ってしまった。


しかたないよね。


あんなにかっこいいんだもの。


たとえ恋人がいたって、女の子なら誰でも緊張してしまうと思う。


でも迷いに迷った挙句、結局ジーンズと襟のついたシャツなんだから、色気もクソもない私。


まぁ何のロマンスにも発展しないんだし、これで充分かもね。


そろそろ着くはずだけど。


窓の外にふと目をやる。


「あ…」


バス停のベンチに腰掛ける朝日さん。


すごい。さすが王子様。


一際目立ってる。


私はドキドキしながら、バスを降りた。