「でも、夏樹さん。
夏樹さんがあのお店で働いていてくれたから、夏樹さんに出会えたんだよ。
あの店にいなかったら、出会えてないもの」


全ては、私があの店でアルバイトをした時から始まっていたんだ。


「…そうだよな。やっぱり、俺と由梨は出会う運命だったんだな」


きっと、そうなんだと思う…。


「運命なんだったら、きっと乗り越えられるよな。

まだまだ先は長いんだし。

一緒に頑張ろうな」


「うん。一緒に…」


ひとりじゃ…ないから。








クリスマスが終わると、あっと言う間に年末になり。


就職してから一度も帰省していなかった私は、年末年始を両親と弟妹のいる家で久しぶりにのんびり過ごした。


夏樹さんの存在を話すと、両親はめちゃくちゃ驚いていた。


私に恋人が出来た事にまず驚いたのと、相手が久遠グループ社長のご子息だったから。


いずれ結婚するつもりだと言うと、お父さんは椅子から転げ落ちてしまった…。


そんな三が日を終えると、私はすぐに夏樹さんの家に戻った。


戻るとすぐに段ボールなどの荷物は大阪へ届けられ、私が使っていた部屋はすっかりもぬけの殻になってしまった。


それを見た夏樹さんが、私が来る以前の状態に戻ってしまったと、ひどく悲しそうな目をしていた。



 
そして、迎えた最後の夜…。