「いいよ。目を開けて」


夏樹さんに言われ、ゆっくりと目を開けると…。


「あ…」


私の右手の薬指に光るシルバーの指輪。


「夏樹さん、これ…」


「クリスマスプレゼント」


うそ…。


どうしよう。


感動して泣きそう…。


「エンゲージリングまでとはいかないけど、ペアリング。

俺もお揃い持ってるから。ほら」


そう言って夏樹さんが、私と同じ指輪を見せてくれる。


「エンゲージリングだと気軽につけられないだろ?仕事中は外さないといけないし。

だから、気軽につけられるペアリングがいいかなって思ったんだ」


「そうなんだ…。ありがとう、夏樹さん」


お揃いのリングか。


くすぐったいけど、でもすごく嬉しいな。


「ごめんなさい。私、何も用意してなくて…」


気が利かないよね…私。


「いいんだ。物なんかいらない。由梨がいてくれたら、それでいい」


夏樹さんの優しい言葉に、一気に顔が熱くなってしまった。


「由梨、これずっとつけてて。
俺もずっとここにつけておくから。
これを見るたびに、俺の事思い出して欲しい」


「夏樹さん…」


まるで恋人の証みたい。


これがあったら私、きっと頑張れると思う。