「あの、社長…」


「なんだ?林」


「水沢には口止めされてたんですが…」


「ん?」


なんだ?口止めされてたって。


「水沢、さっき吐いたんです。

僕、偶然そこに居合わせて…」


由梨が吐いた…?


「帰って休めよって言ったんですけど、大丈夫だから心配はいらない。誰にも言わないでくれって…」


そんな…、由梨…。

 
お前はどうしてそう無理をするんだ。


こんなことなら、体調悪いって言った時点で休ませてやれば良かった。


無理をする子だってわかっていたのに。


俺が悪かったんだ。


由梨、ごめんな…。


「社長、あの…」


「なんだ?」


ちらり林を見てみると、なぜか言いにくそうに口をつぐんでいる。


「なんだよ。言いたい事があるなら、遠慮せずに言えよ」


俺がそう言うと、林が小さくため息をついた。


「あの、社長。水沢ってもしかして…」


「ん?」


もしかして、何?


じれったいな。


早く言えっての。








「妊娠してるんじゃないですか…?」