俺は社長室を飛び出し、厨房出入り口のドアを勢い良く開けた。


厨房に入ると、厨房スタッフ達が一ヶ所に輪を作るように集まっていた。


あの中に由梨がいるのだとすぐにわかった俺は、つかつかと足早に近づいて行った。


「お前ら、そこをどけろ」


俺の尋常じゃないドスの利いた声に、厨房スタッフ達が慌ててその場を離れる。


スタッフ達が取り囲んでいた真ん中に、仰向けに倒れた由梨の姿が見えた。


「うっ」


仰向けのせいか由梨の豊かな胸がやたらと強調され、少し捲れ上がったスカートの裾から長く綺麗な脚が色っぽくその姿を見せている。


目を閉じているのもあって、そのセクシーさがハンパなく助長されていた。


こ、こいつら…。


由梨を心配して集まっていたのは建前で、絶対由梨の事エロい目で見ていただろう!


ゆ、許せない…!


「林っ!」


「は、はいっ」


「社長室に運ぶ!手を貸せ!」


「はいぃぃっ」


由梨を抱きかかえて行けば、それが一番早いのはわかっていたけど…。


でもヘタをして、あの厨房連中に由梨の下着を見られるのだけは絶対にいただけない!


そう思った俺は、林の手を借りて由梨を社長室へと運んだ。


ソファに横たわらせると、自分のスーツの上着を脱いで由梨にかけた。


由梨が寝ているソファに、自分も腰掛ける。


由梨は真っ青な顔をしていて、息が少し乱れている。


「由梨…、どうしたんだよ…」


俺は由梨の手を取った。