「キミも夏樹もまだ若い。

もう少し勉強をしてからの結婚でも、遅くないんじゃないかな?」


指に力が入ってしまう。


私、どうしたらいいの…?


「あと三年待ちなさい。

その間に夏樹には今よりもっと頑張ってもらうから。

そして、キミも一流になりなさい。

三年耐えられたら、その暁にはキミと夏樹の結婚を許そう」


「オーナー…」


「水沢さんを見込んでいるから言うんだ。

キミならきっと出来ると…」


どうして私はいつも、こうやって人に頼りにされてしまうんだろう。


「不思議だね。

キミと夏樹は、こうなる運命だったのかもしれない。

夏樹には水沢さんがとてもふさわしい。

きっと二人ならお互いに支え合って、この会社を盛り上げていけると思うよ」


夏樹さん…。


「じゃあ、そろそろ夏樹を呼ぼうか」


そう言って、オーナーが立ち上がる。


「あの、オーナー」


「ん?」


「大阪へはいつから…?」


「1月からだよ。返事は出来るだけ早めに欲しいな」


「あの、もし。

もし断ったら…?」


私の言葉に、オーナーの動きが止まった。


「キミはきっと断らないさ」


うそ…。


そんな…。