「水沢さん、キミは専業主婦に収まるタイプじゃないと思うよ」


「え…?」


「キミなら、もっと上を目指せるよ。

たとえば、社員教育を全て担うとかね」


「えぇっ、まさか…」


オーナー、それは買いかぶり過ぎですよ…。


「キミの仕事を見てるとね、本当に感心する。

人が気づかないところによく気づくし、細やかな心配りが出来る。

それは才能だと思うよ」


オーナーが優しく笑う。


その笑顔が夏樹さんに似ていて、少し照れてしまった。


「オーナー。私、昔からよく言われるんです。
キミなら出来る。
キミに期待してる。
キミに任せたい。

いつも、自分の実力以上の事を言われてしまうんです」


ソフトボール部のキャプテンをした時もそうだった。


もっと適任者はいたはずなのに、なぜか頼りにされてしまって。


「どうしてだと思う?」


「わかりません。

正直、期待に応えるのがしんどい時があります…」


「それはね、やっぱり人望だと思うよ」


人望?


「水沢さんの人柄なんだよ。

キミは人に愛される。

すごいことじゃないか」


うーん…。


よくわからないな…。