「夏樹さん。もし…もし私が大阪に行ったら、いつ戻って来られるの?」


すぐに戻って来られるんだったら、行っても構わないんだけど。


「ん…、早くて3年…。

もしかしたらずっと戻れないかもしれない…」


ドクンと心臓が鳴る。


ずっと離れたまま…?


そんな…。


「由梨。俺の会社辞めるか?」


「え…?」


「結婚するのが由梨の夢なんだったら、今すぐにでも結婚しよう。

このままこの家で二人で暮らそう。何の不自由もさせやしないよ」


「夏樹さん…」


結婚…。


いきなり過ぎて、実感も何も湧かないけれど。


でも、私も夏樹さんと離れるのは嫌だ。


「由梨、そうしよう。

今度の休み、おやじに会いに東京へ行こう。

そこで話そう。結婚するって…」


「夏樹さん…」


気がつけば、目に涙がいっぱい溜まっていて。


膝にぽたぽたと流れていた。


夏樹さんが、そっと私を抱き寄せてくれる。


「由梨。俺と結婚して…」


夏樹さん…。


私は夏樹さんが好き。


まだ付き合い始めてそんなに間がないけれど。


でも知り合ってからはもう10ヶ月以上が過ぎた。


いいよ…ね?


この気持ちは本物だよね…?




「はい…」



 ずっと。


 ずっと一緒にいよう…。