自分からこんなに甘い声が出るなんて、知らなかった。


飛んでいきそうな意識の中で、夏樹さんが私の名前を何度も何度も呼んでくれる。


そのたびに、私が今繋がっているのは夏樹さんなんだと、この瞬間に戻ってくることが出来た。


私達は何度も名前を呼び合い、指を絡ませ、熱いキスを交わした。


こんなふうに、誰かに愛される日が来るなんて…。


つい少し前まで、思いもしなかった。


自分の中の女の子の部分を否定し続けてた日々。


男に生まれれば良かったのにと思っていた。


綺麗って言われる日は、一生ないと思っていたのに。


夏樹さんが全部塗り替えてくれる。


私を女の子にしてくれる。

 
好き。


こんなにも。


あなたが好き…。


身体と心がいっぱいに満たされた頃に、それは静かに終わりを告げた。


すかさず、夏樹さんが抱きしめてくれる。


「由梨…」


優しい顔の夏樹さんに、胸がキュンとしてしまう。


「由梨、可愛かった。

お前、最強。

ホントにすげぇ…」


な、何がすごいんだろう。


そんなこと言われたら、なんだか恥ずかしい…。