夏樹さんがそっと私の髪を撫で始める。


優しい瞳と、優しい手にトクンと心臓が音を立てた。


「お前さ、わざと胸を潰していただろう?」


「え…?」


「押さえつけて、見られないようにしていたんだろう?」


「どうして…わかるんですか…?」


「わかるよ。お前は周りの期待に応えてしまうから…」


どういう…意味…?


「男の子に見られる自分のイメージを崩せない。だから、その大きな胸はジャマだった。

そんなの見せたら、周りの見る目が変わるだろう?

期待に添えなくなるのが怖かったんだよ、お前は」


「夏樹さん…」


やだ…。


また、泣きそうになる…。


「お前は女の子なんだ。それも、すごく綺麗な。

もう潰したりするな、絶対に。

自分をもっと大事にしろ。

俺の…大事な由梨を…」


「夏樹さん…」


流れる涙を、夏樹さんが拭ってくれる。


「俺がどれだけお前に触れたかったか、知らないだろう?

触れたくて、触れたくて。

その衝動を抑えるのがどれだけ大変だったか、知らなかっただろう?」


夏樹さん、そうなの…?


「お前の全部に触れたい。

愛してやりたいんだ。

二度と、男に生まれたかったなんて思えないくらい…」


「夏樹さん…」