夏樹さんが、私のパジャマのズボンに手をかけている。


それだけは絶対駄目ーーーっ!


必死で引っ張って抵抗した。


「おいっ、離せよっ」


「いーやーでーすー」


ズボンが破れそうなほど、二人で攻防戦を繰り広げる。


はたから見たら、かなり滑稽な姿かもしれない…。


「こらっ、由梨!俺が買ったんだぞ。見せてくれたっていいだろう?」


「ダメなものは、ダメーーー!」


思いっきり顔をしかめていたら、夏樹さんが膨れっ面をして、しぶしぶ手を離した。


ふぅ…。やっと諦めてくれた…。


お互いゼーゼー言ってて、少し汗をかいている。


さっきから私達、一体何をやっているのだろう?


「じゃあ…」


夏樹さんはそう言うと、なぜか自分のTシャツを脱いだ。


ドクンと心臓が跳ね上がる。


「お前だけ恥ずかしい思いさせてたから、これでおあいこだろ?」


私は思わず両手で自分の口を押さえた。


初めて見る夏樹さんの上半身。


細い人だと思っていたのに、思っていた以上にガッシリしていて、筋肉がすごく綺麗で。


思わず見とれてしまった。


厚い胸板にそっと触れてみる。


「あーっ!お触りは1000円になりますー」


「えぇっ?」


「ウソ、冗談だよ」


そう言って夏樹さんは、喉を鳴らして妖艶に笑った。