チーズを食べながらしばらく飲んでいると、なんだか酔いが回ってきた。


もしかして私の目、据わってるんじゃないだろうか。


「社長って、人の顔見ないですよねー」


酔った勢いで、思わず普段思っていることを口にする。


「あー、何が?」


靴を脱いで、ソファに足を上げている社長。


すっかりおくつろぎモードだ。


「私に何か指示する時、全然私の顔を見てないですよ。

いくら私が可愛くないからって、それは人に対して失礼です」


私がそう言うと、ふいに社長がじっと私を見つめてきた。


なになに?なんだろ。


トロンとした目がセクシーで、ドキドキしちゃうじゃない。


「可愛くない、ことはない」


「え…?」


意外な言葉に、目がぱちぱちする。


「多分だけど、お前は男次第だな」


「は?」


「男次第で、綺麗になるタイプだ」


それって、どういうことかな?


社長が私と反対側のソファのヘリに頭をもたれる。


と同時に、社長の長い脚が私の膝元へ近づいた。


「お前、恋をしろ」


「はい?」


「恋をすれば、綺麗になるさ」


「片思いの恋ならしたことがありますよ。でも綺麗になんかなりませんでしたよ」


「片思いじゃダメだ。愛されないとな」


「うっ」


それが可能じゃないから、困ってるんじゃないの。