怒涛のランチタイムも終わり、私達ホールスタッフは厨房スタッフと休憩に入った。


今日のまかないは、林さんが得意なリゾットとコトレッタだ。


すっかりお腹の空いた私達は、早速昼食をいただくことにした。


「いただきまーす」


きのこの良い香りがするリゾットは、疲れた身体を癒してくれる。


「林さん、すごくおいしいです。

林さんのリゾットはやっぱり最高ですね」


思わず唸ってしまう。


林さんは私のひとつ年上の見習いコックさん。


バイト時代から良く知っていて、私達はとても仲が良い。


「そう言ってホメてくれるのは、水沢だけだよねー。あとの二人なんて黙々と食ってるだけ」


あとの二人とは、谷口先輩と沙希のこと。


「ちゃんと美味しいと思ってるわよ。成長したねぇ、林君」


「谷口さん、なんか心がこもってないっス」


林さんが苦笑いしている横で、私はクスクスと笑った。


その時だった。


「俺もここで食っていい?」


聞き慣れた声に振り向くと、夏樹さんが私の後ろに立っていた。


「社長、今お部屋にお持ちしようかと思ってたところなんですけど…」


林さんがあたふたしていると。


「いい。ここで食う」


そう言って夏樹さんは、私の隣にドカンと座った。