「朝日…。

俺、あの時の復讐をしてるわけじゃないから。

お前が由梨を好きだから、好きになったわけでもない。

本当の事言うと俺、社長に就任した頃からコイツの事が気になってたんだ」


え…?夏樹さん…?


「もちろん、その時は恋愛感情じゃなかったけど。

でも気になってるからわざと事務所に何度も呼び出したし、わざといじわるしたし、わざと厳しくしてたんだ…。

まぁ、やることがガキみたいだけどさ…」


夏樹さんの言葉に、朝日さんがクスッと笑った。


「ホント、ガキだね…。好きな子いじめるって小学生じゃん。

そもそも気に入ってなきゃ、一緒に暮らしたりなんか絶対しないしね」


朝日さんにそう言われて、夏樹さんが顔を赤らめている。


「大丈夫。復讐じゃないって、わかってるから。

多分、夏樹と僕は女性の好みが似てるんだと思う…」


朝日さんも夏樹さんも、妙に納得したような顔をしている。


なんだか変な感じだ。


「もう、いいよ。そろそろ行って。明日も早いんでしょう?

はい、これ。由梨ちゃんの荷物」


そう言って、朝日さんが下駄箱の横から私のカバンを出した。


「まとめておいたよ。

夏樹がここへ来て、由梨ちゃんが部屋から飛び出した時、きっとこうなるような気がしてたから…」


「朝日さん…」