「僕の…せいだ」


朝日さんはガクンと力を落としたように、壁にもたれかかった。


「ありさと別れるのに、時間がかかり過ぎたんだ。

由梨ちゃんに告白してから、季節がひとつ変わってしまったからね…」


「朝日さん…」


「恋愛ってね、タイミングが大事なんだと思う。

いくら惹かれ合っていても、そのタイミングを間違えたら、一緒になれるはずのものも、なれなかったりするんだ。

僕は、そのタイミングを逃がしてしまったんだと思う…」


朝日さんの悲しそうな横顔を見ていると、胸が張り裂けそうになる。


この人にこんな顔をさせている自分が嫌いになってしまいそうだ。


「僕は由梨ちゃんに出会って初めて、嫉妬っていう感情を味わったよ」


朝日さんが私の顔を見て苦笑いをした。


「夏樹…」


朝日さんが視線を私から夏樹さんに移す。


「僕とありさが付き合い始めた時、夏樹はこんな苦しい思いをしていたんだな。

お前が突然留学したのもサークルを辞めたのも、今ならよくわかるよ……。

ごめんな。つらい思いさせて…」


「朝日…」


朝日さんの言葉が意外だったのか、夏樹さんはびっくりしたような表情をしている。