「朝日、俺…由梨が好きなんだ…。

やっとその気持ちに気づいて、今打ち明けた」


夏樹さんの声が震えてる。


夏樹さんも緊張しているんだ……。


「俺の気持ちに、由梨も応えてくれた。

お互い、好きなんだ。

俺はコイツを連れて帰りたい。

許して…もらえないか?」


ぎゅっと目を閉じる。


私は覚悟を決めて、朝日さんの言葉を待った。


「由梨ちゃん…、夏樹が好きなの?」


震える指先を、夏樹さんがぐっと握ってくれる。


大丈夫、言える。


この気持ちは、本物だから…。


「はい。私は社長が…。

夏樹さんが、好きです」


私はハッキリと口にした。


朝日さんの目を見て真剣に、決して逸らさずに。


私の瞳をじっと見ていた朝日さんだったけど、しばらくしてその視線を床へと逸らした。


「そう…」


ぽつり朝日さんは呟いた。


打ちっぱなしのコンクリートの部屋はシンと静かで、私達の誰かが少しでも動くとその音が響き渡る。


速くなる鼓動さえも聴こえそうで、私はこの静けさに耐えるのに必死だった。


「今日ずっと由梨ちゃんに感じていた違和感は、これだったんだね…」


朝日さんは長いため息をついた。