「大丈夫ですよ。

社長は充分かっこいいじゃないですか。

イケメン社長って言われて、テレビや雑誌に沢山紹介されていますし」


「はっ。あんなものはな、案外むなしいものなんだよ。
女が寄って来る材料にはなるけど、それ以外まるで中身のないヤツみたいだろ?」


スタッフさん達と社長が出ている雑誌を何冊か見た事があるけど、あれを本当の社長って思われるのは確かに複雑かもしれない。


社長のイケメンさだけが取り上げられて、ただの親の七光りに見えなくもなかった。


あんな記事が載ったくらいで、浮かれるような社長じゃないか。


「まぁ、とにかく飲もう。お前、こっちに来い」


「はい?」


「隣に来いって言ってるんだ」


思わず頬がピクピクする。


「何もしやしねーよ。するわけないだろうが」

 
別にそんなことを心配してるんじゃない。


必要以上に絡まれるのがイヤなだけ。


「社長命令だ。来いって言ったら来い!」


…くしょー。


こんな時に、社長の権力振りかざすんじゃないわよ。


腹立つ。


私はむしゃくしゃしながら、社長の隣に少し離れて座った。