気が付けば、いつの間にか私はベッドに押し倒されていた。


「由梨ちゃん…」


私に覆いかぶさる朝日さん。


せつなそうな顔で、じっと私を見つめている。


「朝日、さん…?」


どうしたんだろう。


栗色の前髪の隙間から見える瞳が、なんとなく怖い…。


「誰のこと、考えてる……?」


「え…?」


心臓がドクンと激しく音を立てた。


朝日さん、今なんて…?


「由梨ちゃん、さっきから何を考えてるの…?」


「な、何って…。何も…」


声が震えてしまう。


私ったら何をこんなに動揺しているの…?


「もしかして…」


ドキドキ心臓の音が止まらない。


お願いだから、そんなに見つめないで欲しい。


そんなに真っ直ぐに見つめられたら…。


「夏樹のこと…?」


思わずぎゅっと目を閉じた。


違う。違うの。


雷に震える社長を思うと、心配なだけ…。


ただ、それだけ……。


「ち、がうんです…。私…」


震える声を絞り出した瞬間、私の唇が朝日さんの唇で塞がれた。


強く、強く押し当てられる唇。


苦しくて息が出来ない。


朝日さんは私の両腕を押さえつけ、激しく唇を重ねる。


舌が潜り込み、激しく絡められる。


いや。


こんなの。


こんなキスはいや。



社長。




夏樹さん…。




た、すけて……。





その時、ピンポーンと朝日さんの部屋のインターホンが鳴った。