さっきから、雷がずっとゴロゴロ鳴っている。


社長、きっと震えているよね。


心配だな。メールしてみようかな。


せめて無事に家に居てくれれば、私も安心なんだけど…。


でも、きっと今夜は眠れないよね…。


眠れなかったら、社長は誰かに電話するのかな…。


社長にどうしても会いたい女の人なら、雷の中でも会いに行くかもしれないよね。


あのベッドで、添い寝してもらうのかな?


社長は、その女の人を抱きしめるのかな…。


キス…したりするのかな…。


そんなの。


そんなの私……。


「由梨ちゃん、どうしたの?」


「え…?」


「目に涙が…」


え、うそ…。やだ…。


「そんなに雷が怖いの?大丈夫だよ」


朝日さんが両腕で抱きしめてくれる。


違う。


雷なんて、怖くない。


それなのに、どうして涙が…?


私、イヤなの?


社長があの部屋に誰かを呼んだり、誰かとキスしたりするの…。


私、どうかしてる。


やっと憧れの朝日さんと一緒にいられるのに。


こんな素敵な朝日さんと。


それなのに私、社長のことばかり考えている。


一緒に居すぎちゃったのかな。


社長のこと知り過ぎて、だから不安なのかな?


その時、私の身体がぐらりと揺れて、背中に柔らかい感触が走った。