「いいんだ。これからゆっくり知っていけばいい。僕らはまだ始まったばっかりなんだから」


朝日さんがやっと笑顔になった。


そうだね。


私達はこれからだよね。


「これからゆっくり、僕を好きになってね」


そう言って朝日さんが、笑顔でちゅっと私の手の甲にキスをした。


うー。朝日さんってば、やっぱりやることが王子様だ。


こんな人と生活していたら、絶対身が持たない。


やっぱり部屋を探そう。うん、そうしよう。


それにしても、さっきから雨が強い。


どんどん強くなっている。


窓際にいると、ちょっと寒いな。


「由梨ちゃん、そこ寒いでしょ?こっちに座っていいのに」


こっちって…あの…。


部屋の一番奥にあるベッドだよ、ね?


はっ。


深く考えていなかったけど、私今日どこで寝るの?


あのベッドのサイズはどう考えてもシングルだよね?


朝日さんの家にはソファがない。


ってことは、あのベッドで一緒に寝るのかしら?


ど、どどどーしよう。


「どうしたの?由梨ちゃん、顔が…」


「えっ、顔が変ですか?」


「なんていうか…、引き攣ってる」


うっ。もしかして私が考えていたこと、バレた?