「ねぇ、由梨ちゃん」


「はい」


「僕のこと、好き?」


「えっ?」


どうしたんだろう?急にそんなこと。


「そ、そんなの…」


好きに決まっているのに…。


だって、そうじゃない。


こんなに格好良くて、優しくて、趣味が一緒で気が合って。

 
これ以上の人がこの先現れるかわからないほど、朝日さんは素敵な人だ。


完璧過ぎて、怖いくらいだよ…。


「好きなら、好きって言って欲しいな…」


真剣な眼差しを向ける朝日さん。


まだ乾き切っていない栗色の髪が綺麗だ。


「す、好きです…」


勇気を出して声にしたのに、じっと視線を逸らさない朝日さん。


「由梨ちゃん…、わかりやすいね」


「え…?」


どういう意味?


「由梨ちゃんは、まだそこまで僕を好きじゃないね」


「えぇっ?」


朝日さんの意外な言葉に、椅子からひっくり返りそうになった。


「そ、そんなことないですよっ」


私の必死の弁解に、朝日さんは苦笑いをした。


「仕方ないよ。だって僕達はお互いの事をまだそんなに知らないから」


そうかな…。


電話ではよく話したのに…。