「クソッ!」


ダンッと作業台に強く拳を落とした。


俺の突然の行動に、従業員が全員固まっている。


俺は震える指先を強く握り締めた。


そんなこと…、そんなの…。


絶対イヤだ…。


アイツの身体に朝日が触れるなんて、想像しただけで気が狂いそうになる。


そうか。


俺は独占したいんだ。


アイツの従順なところも、たまに見せる可愛い笑顔も、あどけない寝顔も。


俺だけに向けて欲しい。


俺だけに見せて欲しい。


アイツが俺以外のヤツのモノになるなんて…。


いいのか?俺。


いいわけ…ないだろう?

  
「マネージャー!!」


「はいっ」


「俺は早退する」


「はっ?」


「後は任せたからな」


きょとんとする従業員達を残し、俺はお店を飛び出した。


外に出た途端、冷たいものが俺の頬に触れた。


「雨か…?」


ぽつり、ぽつりと駐車場のコンクリートに水玉模様が描かれ、その数は次第に増えていく。


俺は急いで車に乗り込み、車を発進させた。


「水沢…」


その名を呼ぶと胸が震える。


「……由梨…」




俺、




俺は……。












 ――――お前のことが好きだ。