「おいっ、食器が溜まってる。作業のジャマだろ」


「は、はい、申し訳ありません」


「おいっ、この料理さっさと運べよ。冷めるだろうが」


「はい、ただ今っ」


なんなんだ、さっきからのこの回転の悪さは!


「おい!マネージャー。どうなってるんだ!」


俺の怒鳴り声に、マネージャーが慌てて駆けつける。


「申し訳ないです。

谷口さんと水沢ちゃんが一緒にお休みなのが、マズかったです。

新人のアルバイトの子2人と柚木なんで、動きが遅くて遅くて」


はぁ…。それは確かに最悪だ。


「シフトの組み方がマズ過ぎる。

マネージャーしっかりしてくれよ」


呆れたように言うと、申し訳なさそうにこれでもかと眉を曲げるマネージャー。


「水沢ちゃんがいないと回転が悪いです。あの子、人の倍働きますからねー」


思わず鼻から息が漏れる。


水沢は、確かによく働く。


笑顔がちょっと硬いのが残念だが、いつも落ち着いていて客からのウケもいいんだ。


「そう言えば先日、彼女の友人がランチを食べに来てましてね」


「……水沢の友達が?」


「はい。短大時代のご友人みたいでした。

その時僕、ちょっと聞き捨てならない事を聞いちゃいました」


何だ?聞き捨てならない事って…。