社長が上にいるせいか、さっきよりも唇を強く押し当てられる。


触れ合う時間が長くなり、次第に増していく深さと共に、私の身体が熱を帯びていく。


時折かかる社長の熱い吐息が、私の理性をおかしくする。


私はそんなにキスの経験はないけれど、でもこのキスは…。


キスがこんなに官能的だなんて、知らなかった。


朝日さんとの時はこんなんじゃ…。


え…?


朝日さん…?


私は途切れそうになる意識から、ハッと我に返った。


社長の肩に両手を置き、グッと力を入れて押し返す。


私の腕が伸びるにつれて、ぎこちなく唇同士が離れていく。


悩ましげな瞳で、私を真っ直ぐに見つめる社長。


その瞳にドクンと心臓が強く波打った。


「……どうした?」


いつになく色っぽい社長の声に、再び理性を削がれそうになる。


「社、長…」


やっとの事で、震える声を絞り出した。


私が発した言葉が意外だったのか、社長が目を見開く。


“社長”


そう…。





夏樹さんは私の上司であり、会社の社長なんだ……。