社長が引き出しから取り出したのは、ワインボトル。


「そのワインがどうかしましたか?」


きょとんと首を傾げてみると、顎を上げる社長。


「付き合え」


「は?」


「飲むんだよ。付き合え」


何を言っているんだ?この人は。


「お前、ハタチなんだろう?
だったらもう飲めるよな?」


「そ、そうですけど、どうしてですか?」


そう言うと社長は、立ち上がって棚からグラスを取り出した。


「お前、見たろ?」


「見たって、何をです?」


返した言葉が気に入らないのか、社長はギロッと鋭い目で私を睨んだ。


「写真だよ」


「写真?」


あぁ、あれか。ありささんの……。


「なんで俺があんな写真を持っているか、気にならなかったか?」


「うっ」


そりゃ少しは気になったけど、そんなに深くは考えなかったな。


「ありさは、俺が好きだった人だ……」


え…?