「夏樹さん、眠れそうですか?」


「ん…そうだな。お前が歌ってくれたから、なんとか眠れそうな気がするよ」


そう言ってはみたけど、ホントは余計興奮して眠れそうにない。


コイツが俺の事を好きとか言うからいけないんだ。


そんな紛らわしい事を言うから…。


その時、パタンという音が足元で聞こえた。


ビックリして身体を起こすと、水沢が身体を直角にしたまま横に倒れていた。


「おいっ」


声をかけてみるが返事がない。


近寄ってみると、水沢は小さな寝息を立てて眠っていた。


おいおい。


ついさっきまでしゃべってただろうが。


一瞬で寝ちゃったよ。


子供か!


もしかして俺が眠れそうって言ったから、安心したのか?


本当は眠いのに、俺に気を遣っていたとか?


だとしたら、悪い事しちまったな…。


俺はスッとコイツを抱き上げ、自分の横に寝かせた。


自分もその横に横たわってみる。


コイツが眠る姿なんて、初めて見た。


酔って二人で寝てしまった事は何度かあったけど、寝顔を見るのは初めてだ。


寝顔、結構可愛い。


まだあどけないな。


20歳なんだもんな。


26の俺とは違うよな。


リリーにしていたように、そっと頭を撫でてみる。


こうしてると、なんだか落ち着く。


俺はコイツをリリーの代わりにしているのかな。


だから、なんとなく手元に置いておきたくなるのかな。


水沢が息をするたび、身体がゆっくり上下する。


その胸の動きに、俺は目が釘付けになった。


やっぱデカイ…。


松本に聞いたけど、コイツEカップらしいからな。


って、おい!


何やらしーこと考えてんだ、俺は!