「松本はな、完全オーダーメイドの下着を作ってるんだ。

サイズがぴったりだから、すごく着心地がいいらしい。

お前にプレゼントしてやる」


「え…?」


プレゼント?なんで?


「色々、世話になったから…。お礼だ」


世話って…。


私、何もしていないのに…。


「遠慮なくもらっておきなさいよ。

こんなこと、すごくめずらしいんだから。

久遠君が直接女の子をお店に連れて来たのはあなたが初めてよ。

紹介はいくつももらってたけどね」


「ちょ、余計な事言うなよ」


松本さんの言葉に、社長がめずらしく焦っている。


「じゃあこれ引き換え券ね。

一週間後、取りに来て」


「あぁ、頼むな」


私と社長は松本さんにお礼を言って、お店を後にした。


二人並んで、さっきとは逆方向にアーケード街を歩く。


「あの…社長。ありがとうございます。

ちょっと、ビックリしました」


私がお礼を言うと、社長がにっこり笑った。


「お前の持ってる下着じゃ、さすがの朝日も萎えるだろうからな」


うっ、なんてこと言うんだ。


「お前、経験ないんだろ?」


「経験?」


経験ってまさか、あのこと? 


「最初って肝心なんだ。

感じ方によっちゃ恐怖になるからな。

どうせならいい思い出にしたいだろう?

松本のところの下着なら、きっとお前を後押ししてくれるだろうと思う」


社長、あの。


すっごい恥ずかしいんですけど。


でも、ここまで考えてくれてたなんて。


なんだか胸がキュンとしてしまった。