「社長ー、どこへ行くんですかー?」


社長は足早にアーケード街を歩いて行く。


「また社長って言ったなー。

まぁいいから黙って付いて来いって」


くー、やっぱりワンちゃんの扱いだ。


「ここだよ」


そう言って社長が立ち止まった場所は、何やら高級そうなお店の前。


「ここ、大学の時の同級生がやってる店なんだ。入ろう」


入ろうって…。


大体ここって、一体何屋さんなの?


社長に連れられて中に入ると、店内はフカフカのカーペットになっていて、優雅なクラッシックのBGMが流れていた。


「あらー、久遠君じゃない。いらっしゃい。久しぶりね」


「おう。久しぶりだな、松本」


お店の奥から出て来た女性は、ストレートの髪がとてもお似合いなキャリアウーマン風の美人だった。


「あら、こちらの女性は?」


「あぁ、コイツ。俺の会社の従業員なんだ」


「そうなのー。はじめまして。

久遠君の同級生で、松本美和と言います。

このショップのオーナーよ。よろしくね」


ハキハキと言われて、なんだか恐縮してしまう。


「あの、はじめまして。

水沢由梨と申します」


カチコチになって頭を下げると、松本さんはにっこり笑ってくれた。


「なぁ、松本。コイツのサイズ測ってやって」


んん?


サイズって何?


「もちろんいいわよ。こちらへどうぞ」


「え?あの、社長。何を測るんですか?」


私がそう言うと、社長はニヤリと怪しげに笑った。


「お前の胸のサイズだよ」


「は?」


な、なんだってぇぇぇ~~~?