「由梨ちゃんがここのレストランで仕事してるって聞いて、ビックリしたんだ。夏樹のレストランだったから」


それならそうと、この前会った時に言ってくれたら良かったのに。


「今まで一度も来たことないのに、どういう風の吹き回しだよ」


腕を組んだままの社長が尋ねた。


「由梨ちゃんに会うためだよ」


朝日さんの言葉に、胸が少しキュンとした。


が、その直後に放たれた「へぇ」と言う社長の無愛想な声に、一気に冷めてしまった。


ホント無関心だよね。こと私に関しては。


「それがメインだけど、久しぶりに夏樹の顔も見たくてさ」


「夏樹君は付き合い悪いから、私達から尋ねないと一生会えなくなっちゃうわ」


社長って付き合い悪いんだ。


確かに、あんまりマメな感じはしないかも。


「水沢、お前いつまでここにいるんだ」


ギロリと鋭い目で私を睨む社長。


うっ、怖い……。


「し、失礼しました。

ごゆっくりどうぞ」


頭を下げて立ち去ろうとすると。


「いいんだよ、由梨ちゃん。
せっかくだし、もう少し話そう」


朝日さんが王子様スマイルで笑った。


そんな綺麗な笑顔を向けられても、ここにいると社長が怖いんですけど。


「ねぇ、夏樹君。

私達ね、そろそろ結婚しようかって話が出てるの」


え…?