「今日もね、実は無理矢理会ってもらってるの。朝日君、あんまり会いたくなさそうだったのに…」


ありさがさみしそうに視線を下げる。


「ごめんね。急にボウリングがしたいなんて言ったりして。
でも、このまま朝日君とふたりきりでいたら、また別れようって言われそうで。
それが怖くて…。

夏樹君と由梨ちゃんが一緒に居てくれたら、少しは朝日君が笑ってくれるかなって思ったの…」


「ありさ…」


朝日はやっぱりありさと別れようとしてるのか…。


「なぁ。もう少し話し合って、なんとかやり直せないのか?」


俺の問いに、ありさは首を横に振った。


「もう、無理だと思う。

実は私達ね、もう随分前から倦怠期が来ていたの」


「倦怠期?」


「うん。付き合いも長いし、私達ってもともと趣味も合わないから。
一緒にいても特にすることもないし、なんだか惰性で付き合っていたところがあったの」


知らなかった。


てっきり仲良くやってるものだと思っていたから。


「それでも、この人と結婚するんだと思っていたから、朝日君に結婚できないって言われた時にはすごくショックだった。

さらに別れようって言われた時は、本当に悲しかった。

別れるなんて絶対イヤだって、必死にしがみついて泣いたの。

だけどそうやってもがけばもがくほど、朝日君はどんどん私から遠ざかっていくみたい」


ありさの目に涙が滲んで、俺の心はぎゅっと締め付けられてしまう。