朝日さんは機械にコインを入れると、何やらデザインを選び始めた。


私はただ黙ってその様子を眺めていた。


でも急に朝日さんの手が止まり、私の顔をじっと見つめて来た。


その熱い視線に戸惑っていると、突然腰を引き寄せられた。


ぐらりと視界が揺れて、私の顔に朝日さんの胸が当たる。


「えっ、あの…」


「……由梨ちゃん、あいたかった…」


そう言って、朝日さんが抱きしめる腕に力を込める。


どうしよう。


こんな薄っぺらいカーテン一枚を隔てているだけなのに。


誰かに見られたらどうしたらいいの?


でも、朝日さんのシャンプーの香りがなつかしくて、思わずぎゅっと朝日さんの青いシャツにしがみついた。


朝日さんの呼吸が少し乱れていて、なんだかドキドキしてしまう。


「由梨ちゃん、キミは悪い人だ」


意外な言葉に、ドクンと心臓から大量に血液が出て来たような気がした。


「会わないって焦らしたり、突然引っ越して驚かせたり。
夏樹と二人でいるところを見せて、僕を嫉妬で狂わせる」


「そんなこと…」


朝日さんの口からこんな言葉が出るなんて思わなくて、私の手は震えてしまう。


「無意識でやってるんだからすごいよ…。
僕をこんなに夢中にさせて…っ」


朝日さんはそう言うと、私の唇を強引に塞いだ。